札幌第一こどものとも社

［ 事務所 ］

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函館西部地区は、この地域が最も栄えていた明治末期から昭和初期にかけての和洋折衷の建物が多く残り、国の重要伝統的建造物群保存地区と北海道遺産に選定されています。
今回は、札幌第一こどものとも社の代表・藤田くんが大切にしている「庭」というコンセプトをかたちにするために、箱バル不動産に依頼して、古い建物好きのあいだでたびたび話題に上がる物件を紹介してもらいました。

物件の取得の仕方

目当ての物件はしばらく空き家のままで、固定資産税のほかに借地代もかかるため、そろそろ解体して土地を返そうとしているとのこと。建物の総面積は想定していた倍以上の広さ。賃貸はＮＧのため、修理費や購入後の維持・管理費がネックでした。
一番の問題は、建物の基礎部分が低くて、室内の床と道路が同じ高さだということ。アスファルトの舗装によって、道路のほうが高くなってしまったのでしょう。雨や雪で、建物の土台や外壁が傷む原因になります。しかし、いま購入しないと壊されてしまう……。
そこで、誰かとの共同所有を提案したところ、同じようにこの建物を惜しいと思ってくれていた箱バル不動産から、「建物を買い取るので半分賃借しないか」という願ってもない提案を受けました。

まちの人たちとのかかわり

通常、解体と施工会社はわかれているためゴミはまとめて破棄されますが、僕はどちらもやるので、あとで使えそうなものはとっておいて転用します。今回は、床下にあった木材を階段の手すりや壁の下地に使いました。また、薪にして使えそうなものは小さくして、「ご自由にお持ち帰りください」とお裾分け。廃棄には１平方メートルあたり５万円ほどかかるので経費が削減でき、ご近所への挨拶にもなりましたね。このことをきっかけに、建物やまちの昔話を教えてくれたり、ジュースの差し入れをしてくれたりと、自然と人が集う現場になりました。

自分たちでメンテナンスをする

２階の事務所スペースを整え、水周りを優先的に改修。建物の顔となる入り口がくたびれていたので、木製の引き戸にし、外観と馴染ませてオープンな雰囲気にしました。１階のイベント・ギャラリースペースは、これまでの間仕切りを整理し直し、広々とした空間に。白い大きな壁面もつくりました。
仕上げには、事務所のスタッフやその子どもたちとワークショップを実施。塗装や端材を使ったスツールづくりを通して場所の記憶に触れてもらい、メンテナンスの技術も学んでもらいました。古い建物に暮らすのであれば、棚くらいつくれないと、不具合が生じるたびに困ってしまうんですよね。
こうして第１期の工事は完了。でも、１階の磨りガラスを透明なものに入れ替えたり、スタッフの宿泊スペースを整備するなど、まだまだやることはたくさん。事業のタイミングを見て、第２期を予定しています。
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